はじめに
「歴史の重みと湯けむりのやさしさが交わる場所」。
会津若松の奥座敷・東山温泉は、静けさの中に語り継がれる物語が息づく温泉地です。
前回の 👉 旅のしおり編|東山温泉 では、鶴ヶ城から大内宿までを巡る1泊2日のルートを紹介しました。
本記事では、実際に訪れたからこそ分かる“会津の心の温度”を、
歴史・風情・味覚・宿の魅力とともにお届けします。
東山温泉の歴史と逸話
開湯は奈良時代。名僧・行基が会津の山中で薬師如来の霊示を受けて湧出したと伝わります。
以来1300年、東山の湯は「癒しと再生の湯」として人々を包み続けてきました。
江戸期には会津藩主・松平家の御用湯となり、藩士の湯治場として賑わいました。
戊辰戦争の際には、負傷した兵士たちがこの湯で傷を癒したという逸話も残ります。
明治期には竹久夢二や与謝野晶子、山本有三などが滞在し、
その詩や作品の中に「湯煙の都・東山」の描写を見ることができます。
今でも渓流沿いに立つ湯宿は、当時の面影を残し、
夜になると川霧と湯けむりが一体となって幻想的な光景をつくります。
🌿 感想
湯煙が立ち上る坂道を歩いていると、遠くから川のせせらぎが響きました。
「ここに流れているのは、千年分の時の音なのかもしれない」――そう思った瞬間、
自分もこの歴史の一部になったような気がしました。
観光レビュー①:鶴ヶ城(会津若松城)
歴史と背景
会津若松の象徴・鶴ヶ城。1384年、葦名直盛によって築かれたのが始まりです。
その後、蒲生氏郷が五層の天守を築き上げ、赤瓦を葺いた唯一の名城として知られました。
戊辰戦争では、新政府軍に囲まれながらも約1ヶ月に及ぶ籠城戦を耐え抜き、
白虎隊の悲劇が生まれた場所として、今も会津の誇りの象徴です。
春には桜、秋には紅葉に彩られ、歴史の舞台でありながら癒しの空間でもあります。
🌸 感想
天守から見下ろす町並みは、どこまでも穏やか。
会津の人々がこの地に誇りを持ち続けてきた理由が、
風に乗って伝わってくるようでした。
城を出るとき、ふと振り返ると、
夕日に染まる鶴ヶ城が“静かに微笑んでいる”ように見えました。

ご当地グルメレビュー
感動の一品:なかじまのソースカツ丼
会津のソースカツ丼は、大正時代の洋食ブームの影響を受けて生まれました。
ウスターソースをベースに甘辛く煮詰めた独自のタレが、カツとご飯をひとつに結びます。
老舗「なかじま」は、会津のソースカツ丼文化を今に伝える名店。
揚げたての厚切りロースカツに特製ソースをたっぷり絡め、
ご飯の上に丁寧に重ねる――この“ひと手間”が、味の深みを生みます。
🍖 感想
箸を入れた瞬間、カツの衣がサクッと音を立て、
甘辛い香りがふわっと立ち上がる。
口に運ぶと、肉の旨味がソースと混ざり合い、
まさに“会津の力強さ”を感じる味。
食後の満足感が、旅の幸福感そのものでした。


宿泊レビュー:東山温泉「はなれ松島閣」
歴史と由緒
「はなれ松島閣」は明治初期創業。東山温泉の中でも、最も静寂と品格を守り抜いてきた宿です。
もともとは政財界人や文化人が会津を訪れる際の滞在先として知られ、
その離れ造りの建築は、数寄屋造りと会津漆器の意匠を融合させた独特の美しさを誇ります。
館内には、会津絵ろうそくや赤べこの意匠がさりげなく飾られ、
“郷土愛の美学”が息づいています。

温泉
宿の自慢は、源泉かけ流しの硫酸塩泉。
皮膚の再生を助けるとされ、“傷を癒す湯”として古来より愛されてきました。
温泉は内湯と露天があり、露天風呂からは渓流の流れが目前に。
四季折々の景観が楽しめ、春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪見風呂。
まさに「自然と一体になる湯」です。
🌙 感想
夜の露天で湯に身を沈めると、川のせせらぎと虫の声だけが響きました。
空を見上げると、湯けむりの向こうに星が揺れていて、
「ああ、ここに来てよかった」と心の底から思いました。


料理
夕食は、福島牛のすき焼きと会津の郷土料理「こづゆ」を中心にした会席。
すき焼きは脂が軽やかで、肉の旨みが口いっぱいに広がります。
「こづゆ」はホタテの出汁がきいた優しい味で、地元の人の温かさを感じる一品でした。
感想:
湯上がりに浴衣で畳に座りながら味わう会津料理は、格別のひと言。
特に福島牛のとろけるような食感は、今でも忘れられません。
この地で受け継がれてきた“もてなしの心”が、一皿ごとに感じられました。


部屋
窓の外には、紅葉が色づき始めた渓谷。
朝、カーテンを開けると、陽の光が山肌に反射して輝き、
湯けむりとともに立ち上る白い霧が幻想的でした。
まるで絵画の中で目覚めたような朝でした。

観光レビュー②:大内宿
2日目は江戸の風情を残す宿場町・大内宿へ。
茅葺き屋根の家々が並び、まるで時が止まったような光景です。
観光地でありながら、生活の息づかいが感じられるのも魅力。
感想:
石畳を歩くと、薪の匂いと味噌田楽の香ばしい香りが漂い、
「ここでは時間の流れそのものが旅のごちそう」だと感じました。
まるで自分のご先祖もこの道を歩いたのでは、と思うと不思議なロマンがありました。

ご当地グルメ②:石原屋のねぎそば
ねぎを箸代わりに使って食べる、大内宿名物の「ねぎそば」。
薬味のようにネギをかじりながらそばをすするという、ユニークな食べ方です。
感想:
そばの香りとネギの辛味が絶妙にマッチしていて、
シンプルながらクセになる味わい。
旅の終わりにふさわしい、素朴で温かい一杯でした。


まとめ|東山温泉のおすすめポイント
- 鶴ヶ城や大内宿など、会津の歴史を巡る旅路
- 源泉かけ流しの湯と渓流のせせらぎが癒す「はなれ松島閣」
- 福島牛・こづゆ・ソースカツ丼など、会津の味覚を満喫
- 自然と歴史、そして人の温かさが溶け合う“会津らしさ”
東山温泉は、**「静けさの中に、会津の誇りが息づく温泉地」**でした。
湯に浸かるたび、心がほどけていくようで――
旅を終える頃には、まるで自分の中にも“会津の魂”が宿ったような感覚が残りました。
👉 次回は【温泉キャラ図鑑編】。
今回の旅で特に印象に残った「渓流と紅葉、そして福島牛のぬくもり」をモチーフに、
東山温泉のキャラクターを創作してみます。どうぞお楽しみに!
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